朝日PRセンター エントランス

企画の種は、地下鉄にも転がっている。

企画の種は、地下鉄にも転がっている。

あるマンションデベロッパーのクライアントから、広告コンペ参加のお声がけをいただいた時のことです。
お声がけいただいたプロジェクトはJR中央線の某駅から歩いて数分、全45戸の賃貸マンションを、外観・共用部・室内すべてリノベーションし販売するというもの。その広告コンセプトからプロモーション計画の立案が、依頼内容でした。
オリエン時に伺った話の中で、「M市=郊外=ファミリー」というステレオタイプなコミュニケーションではなく、都心と郊外の間の立地だからできるコミュニケーションを提案してほしいというオーダーも。
なるほど実際にM市の街を歩いてみると、ただの郊外として訴求するにはもったいないほどの、個性的な街並が広がっています。たくさんの緑があり、きれいな散歩道が整備されていて、路地を曲がればオーナーのこだわりがにじみ出るようなオシャレなお店が点在し、もちろん中央線らしい人情味のあるお店も揃っている。
そこで、M市の街が持つ、これらの魅力を最大限に伝えることを、コミュニケーションのキモとして企画を練っていきました。
またターゲットの志向性についても、「M市のリノベーションマンション」という住まいを選ぶ方たちを、“鼻のきく(=情報感度が高く、センスがいい)大人”という風に定義し、彼らに対して深く届くメッセージやデザインテイストを探っていきました。
コンセプトについてあれこれ思いを巡らせる中、アイデアのヒントをくれたのが、打合せへ向かう地下鉄の駅で何気なく手にとった、一冊のフリーペーパー。
そこで紹介されていたのは昨今トレンドにもなっている「ヒップ」という生き方と、「ヒップスター」と呼ばれるその生き方を体現している東京の人々でした。
「ヒップ」とは、2014年7月に出版された「ヒップな生活革命」という本で日本にも広く紹介された、アメリカのポートランドやブルックリンで多く支持されているライフスタイルです。サブプライム危機に端を発するアメリカのバブル崩壊後、メインストリームだった大量生産・大量消費という流れとは異なり、エコやオーガニックを大切にし、手の届く範囲のコミュニティで、作り手の顔が見えるモノを消費する暮らし方。
そんな「ヒップ」という価値観やライフスタイルは、リノベーションマンションという今回の商品やクライアントの考え方に合致するのではないか。そうして導き出した広告コンセプトをプレゼンテーションにおいて提案しました。
そのコンセプトに基づくプロモーション計画においても、物理的な距離や地縁によるターゲットエリアの設定ではなく、ターゲットインサイトによったエリア設定を試みました。
つまり、「M市文化圏」からの集客です。
例えば、東京近郊を見渡してみても、調布や別所、中目黒、市川、駒沢など、M市と似た匂いを持つ街がいくつか見つかります。そこに暮らすターゲットであれば、本プロジェクトは十分に検討してもらえるのではないか、という仮説のもとにターゲットエリアを設定。そして、この広域に散らばる不特定多数のユーザーへと効果的にリーチするためにSNSを軸としたWEB中心のプロモーション計画を立案しました。
ユーザーの情報収集動線を吟味し、WEBとリアルをおりまぜたオムニチャネル型のプロモーション施策を企画し、多角的・複層的に本プロジェクトの魅力を訴求。「気づき」→「興味」→「欲しい」の心理的動線を、様々なシーンで複数回体験させることによって、本プロジェクトのファンを醸成していきます。さらに、その受け皿となる物件ホームページにも、ある仕掛けを施しました。詳細はここで述べることはできませんが、業界でも初となるその試みによって、ただ物件の情報を伝えるだけでなく、クライアントのファン層拡大やブランド力向上へも寄与していくホームページを企画しました。
私たちは、クライアントが抱える課題を解決するだけが、広告代理店の仕事ではないと考えています。商品の、クライアントのもつ魅力をしっかりと理解する。その上で、ターゲットニーズと時代性に即したカタチでアウトプットしていく。そうしてクライアントがその商品を販売し、広告することによって企業価値が向上する。そこまで行って、ようやく我々は役目を果たせたと言えるのではないでしょうか。そのために、常に時代の流れにアンテナを張り、日常での些細な出会いやインスピレーションの種にも気を配ることが大切になってきます。そうして生まれたアイデアによって、日々、ご提案を行っています。

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